「えんこう伝の妙薬

 二条川と黒谷川がいっしょになったところに、要害の淵があるんじゃ。
 その淵で、周防の侍たちが馬を洗いよったところへ、えんこうがやってきて、馬の足にひっつきよった。
 それにたまげた馬は急に川をかけ登りよった。
 そこで、こんどは、えんこうがたまげよったんじゃ。
 「助けてくれえ、助けてくれえ、助けてくれたら、なにか薬を教えてやろう。」
いうてえんこうが叫んだ。
 侍たちに助けられたえんこうは、子どものひきつけの妙薬を教えたというんじゃ。
 これが、えんこう伝の妙薬として、明治の終わりまで、ひやけ屋敷という家に伝わっていたそうじゃ。

語り手 西坂綱一(二条)

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