風呂にたくわん

 ゆかいな息子さんがおりんさってなあ。
 ある日、家族みんなで、お茶漬けを食べよったら、その息子さん
が、「あついけえ、たべられん。」ちゅうもんじゃけえ、
「それへ、たくわんを入れてみい。そうすりぁあ、たくわんでお茶 が冷ようなって、食べられるようになるけえ。」
と、家のだれかが教えてやったんじゃあ。

 それから何日かして、その息子が、ある旅館にとまったんじゃ。風呂にたくわん
 「まあ、まあ、つかれんさったろうね。さあ、お風呂に入りんさいや。いま、ちょうど、ええ湯かげんですけえね。」
 さっそく、旅館のおかみさんが、お風呂へ案内をしてあげんさった。
 ところが、しばらくして、
 「たくわん、持ってきちゃんさーい。たくわん、持ってきちゃんさーい。」
 という、いかーい声が聞こえたけえ、おかみさんは、かあ、びっくりしんさって、
 「はい、はい、どねえしんさったかね。」
なにごとやらと思うて行ってみんさったら、
 「風呂があついけえ、たくわんを、じょうに、持ってきちゃんさい、たくわんで冷まして入るけえ。」

 おかみさんは、大笑いしんさったとー。

さしえ 益田小学校3年 M・T
語り手 山根キヨノ(大谷)

目次