「五助じいさんの狐退治

 横田から、かつまたとか、楠のえごとかを通って、それから、二本松というところの見晴らしのよいところで一服して、ばらばらっと降りると赤松に出る。
 この道が昔の道で、往還というんじゃよ。
 もうむかしのことだが、この道を通ると、狐が出てきて、ずいぶんだまされたもんじゃった。
 魚を持って通ればとられるし、祭りでもらったご馳走なんかもきれいに取られて、いつも人間の方が負けじゃったんじゃ。

 これをみかねた、隅村の五助じいさんが、
 「こんどこそは、わしがやつけてやろう。」
と、横田の町に出て縄をはなえると、日が暮れるのを待った。
 薄暗くなったのを見て、五助がしばらく山道を歩いていると、
 「今晩は。おんぶしてくれ。」
ちゅう声がしたんじゃ。
 「(おやおやもう出てきよったわ)」と、声をかけてきたお客をおぶると、横田ではなえた縄で自分の体にぐるぐるっとまきつけて家に帰ったんじゃ。
 「おっかあ、帰ったよ。今晩は珍客をつれて帰ったから、しっかりご馳走せにゃあいけん。しっかり火を焚け。湯もしっかり沸かあて。それから、庭におる犬もようつないどけ。」
と言うと、お客さんをあがりとへどかっとおろいたんじゃ。
 それからまた、五助は大きな声で、
 「お客さんにしっかりご馳走せにゃいけんから火を焚け。あぶらにゃあいけん。」
ちゅうもんじゃから、狐はなんだか恐ろしくなって正体をあらわしたんじゃ。
 「こりゃ、お客かと思うたりゃ狐かい。こりゃちょっと料理をせにゃいけん。」
ちゅうて、まな板の上に狐を押さえ付けると、
 「こっちから、こっちゃあ、すねあてにする。こっからこっちゃあ、巾着にする。」
と、出刃包丁でおそろかいたんじゃ。狐はさんざん油をしぼられてしょげてしもうたんじゃ。
 そんな狐の姿を見た五助じいさんは、五助じいさんの狐退治
 「これっきり、みんなをたぶらかいたり、いたずらをせにゃ助けてやる。」
ちゅうて、うらの山に逃がしてやったんじゃ。

 狐は尻尾をたらかして、五助の方をふりかえり、ふりかえり、山にあがったんじゃ。
 それから頂上につくと、
 「小尻焼きの五助じいー。」
ちゅうて、大きな声で呼んでから姿を消したんじゃ。
 それからというもの、まい朝まい朝、家の入り口に魚がおかれてあった。
 また、暗い道を通る人が困っつりゃ、あかりをともして道を教えてくれよったちゅう。
 狐もしっかり人間らしゅうなったという話じゃ。

さしえ 西益田小学校5年 S・I
語り手 石川国一(隅村)

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