「彦兵衛のいし

 いまから約四百年前、豊臣秀吉が朝鮮に兵を出したんじゃ。その兵の中に、岡彦兵衛がいた。彦兵衛は、いまの下種町というところで、妻や子どもたちと平和にくらしている武士じゃったが、秀吉にしたがって、朝鮮に渡ったんじゃ。
 ある日のこと。わらじをはいとる中へもって 、小石がはさまっているのに気がついたんじゃ。取り出して見ると、青にちょっと紫がかったきれいな石じゃったが、足が痛いから、ほうってしもうたんじゃ。
 そしたところが、また、その石がわらじの中にささって、前より少し大きゅうなっていたちゅうんじゃ。
  「こりゃあ、きれいな小石じゃし、大事にせにゃあいけん石じゃ土産にしよう。」
ちゅうて、紙につつむとふところに入れておいたんじゃ。
 長い戦いが終わって、おそころさいわいに、彦兵衛は無事に日本に帰ることができたんじゃ。家に着いて、さっそく子どもたちの前に、小石を出してみると、また少し大きくなっていた。
  「この石は、朝鮮から持って帰った石じゃ。拾うた時より大分大きゅうなっているんじゃが、これが土産じゃけえのう。それにしても少しずつ大きくなっていくふしぎな石じゃ。」
 子どもたちは不思議がってながめたちゅうんじゃ。こりゃあ、大事にせないけんからちゅうて、家の近くに、祠を作ってていねいに祭ったんじゃ。
 この石を拝むと、病気が治ったり、願いごとがかなったりするちゅうことで、村の人たちは、しょっちゅうおがんでいきよったんじゃ。
 それから、いつごろか、大きゅうなった石が二つに割れて、その片方が、あの千振のゑびすさんちゅうかいねえ、千振の守り神になったちゅう話じゃ。


彦兵衛のいし

さしえ 種小学校4年 R・M
語り手 伏谷実(種)

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