「汽車に化けた狐

 うす暗くなって上りの汽車が高津川の鉄橋にさしかかると、とつぜん、
「ドッドッドッ」と、向こうから下りの汽車がやってくるんじゃ。
 「あぶない!」汽車に化けた狐
びっくりした機関士が急ブレーキをかけ降りてみると、なんにも見えないんじゃ。なんにもおりゃあせん。
 そんなことが何日も続いたある日、鉄橋にさしかかると、また向こうから汽車がやってくる。 こんどは、
 「もう、しょうとつしてもええわ。」
と思った機関士は、そのまま、ツァーと走らせたら、
 「ガタン!」
と音がしたんじゃ。驚いて降りてみると、そこには大きな狐が死んどったといね。
 鉄橋を通って、高津から駅前へ食べ物を取りにいったその帰りじゃったらしい。
 汽車にひかれんように、汽車に化けていたんじゃが、とうとうひかれてしまったんじゃと。

さしえ 吉田小学校6年 M・K
語り手 不明

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