「狐に化かされた話

 むかし、おおぐらというところに、わかさんと呼ばれた人がおったと。
 八っつぐらいの頃、家のまわりで遊んでいた親子の狐に出会ったんじゃと。
 わかさんはその親子の狐が可愛くて持っていたむすびをやったんじゃと。
 ところが、そのわかさんが十日たっても二十日たっても家に帰らんので、家の人や近所の人らあがいしょになって探したといね。
太鼓をたたいたり、笛をならしたりして、
「わかさ〜ん。」「わかさ〜ん。」と何日も山の中を探し歩いたと。
 そして、人が通らんようになった古い道のへりにある「かんがた屋」ちゅう空き家で、ひとりで寝とったわかさんをみつけたんじゃと。
 「わかさん、どうしてここへきたんかね。」と聞いたら、
「おじいさんに背負われてきたんじゃあ。中吉田の橋を渡って、そいでまんじゅうをたべさせてもらった。」ちゅうて答えたそうな。
 ふしぎなことがあるもんじゃと、村の人たちがよく調べてみると、そのおじいさんは狐が化けたおじいさんで、まんじゅうは馬の糞じゃったそうな。

語り手 島田ヒサヨ(三宅)/石田秀吉(大谷)/斎藤広義(乙子)
奥田五郎(種)/石田高(大谷)/長岡キクコ(山折)/城市近政(白上)
山瀬秀義(猪木谷)/竹林シノ(日原)/城市トモ(白上)/岩崎佐一(津田)
和崎トモエ(多田)/中島文子(持石)/沢村啓一(飯浦)/木村タマヨ(馬谷)
椋木善光(向横田)/城市道子(白上)/杉内歳夫(多田)/可部豊か(桂平)
佐々木伝次郎(津田)/石川静夫(隅村)/大谷好市(乙子)/石橋新一(川登)
松崎正夫(遠田)/城市重寿(松原)/西迫種一(美濃地)/田中亀市(西平原)
長岡みさを(山折)/益田きん(柏原)/佐々木信勝(西平原)/奥田五郎(種)
村上升一(隅村)/伏谷実(種)

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