肉付き面

 この村に、まことにごほうぎな(信仰のあつい)お嫁さんがおりんさった。日の中は畑や田んぼの仕事に忙しいもんだから、夜になってから、ご法話を聞くために、ごほうぎの熱い人のところへ参らしてもろうていたんじゃ。
 そんなこととは知らない姑さんは、お嫁さんがどこかへ遊びにでも出かけると思うて、お嫁さんを憎んどんさったんじゃ。

 ある晩のこと、いつものように、お嫁さんが、肉付き面
 「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
ちゅうて、お念仏を唱えて帰りよんさったんじゃ。
 ちょうど竹やぶのそばを通りかかったとき、鬼が出てきたんじゃ。ところが、お嫁さんは信心をいただいとんさるけえ、恐ろしいことはなかったんじゃ。
 「噛めば噛め、食らえば食らえ、金剛の鬼には歯は立つまい。」
ちゅうて、なにごともなかったように、念仏を唱えて家に帰りんさったって。

 お嫁さんの前に出てきた鬼というのは、鬼の面をかぶった姑さんじゃったんじゃ。
 姑さんは、「やれやれ、恥ずかしいことをした、恥ずかしい、恥ずかしい。」ちゅうて、お嫁さんのあとをおわあて帰って、面を脱ごうと思いんさったが、面は脱げんようになっていたということじゃ。

さしえ 吉田南小学校1年 K・Y
語り手 田中イマ(西平原)

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