「にせ本尊

 わしがこまい時にねえ、秋吉さんとこが馬を買うたちゅんじゃなあ。
 ある日、その馬に荷をつんで匹見へ行ったかえりに、どこからか、素敵なべっぴんさん出てきて、
 「馬に乗してもらえませんか。」にせ本尊
ちゅうていうたちゅう。
 「そりゃあ乗してやる。」
ちゅうて、べっぴんさんを馬に乗せてやったが、こりゃあどうも、けんごにキツネのやつがばかしやがったと思うてね。秋吉さんはそのべっぴんさんを馬にくくりつけて家にもどったちゅうんじゃあね。
 家に連れて入ると、
 「ばあさあ、こんに、ええお客をつれて戻ったでえ。」
ちゅうていうたら、
 「おお、そりゃあ。」
ちゅうてばあさんが大喜びしたちゅう。
 なんだかおじいさんとおばあさんの様子がおかしいのにたまげたべっぴんさんは、本性をあらわすと仏壇に飛び込んで、仏さんになったんちゅうんじゃ。
 仏さんが二つになってどっちが本物かわからんようになった。
 そこでおじいさんが
 「ばあさあ、なんじゃあな、うちの仏さあいつも動きんさるが、今夜は動きんさらんがなしてじゃろうか。」
ちゅうていうたんじゃ。そしたら仏さんが動いたちゅんじゃ。
 秋吉さんは、「こんの野郎」ちゅうて、そのべっぴんさんを、いやキツネをひっつかまえて、きん投げたちゅうことじゃ。

さしえ 吉田小学校6年 K・M
語り手 秋吉直幸(乙吉)

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