弘法大師の話
 「飲み水」

 ある年の暮れ。
 一人の旅人がある家の戸をたたいた。
 「のどが渇いたので水を飲ませてくれんか」
出てきた家の人がその旅人があんまりにもみすぼらしいかっこうをしとるから、
 「家には水なんかありゃあせんでや。」
ちゅうて追いかえした。
 そうしたところが、翌年から、川上から流れて来ていた水が、その家の前だけは地下を通って、川下に流れていったということじゃ。

語り手 福原豊市(安田)/村上久代(隅村)/石田秀吉(大谷)/
田原弥三郎(木部)/岩崎佐一(津田)/広瀬徳義(栃山)/福原文治(赤雁)

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