「雪舟の硯の池

 大喜庵に硯の池というのがある。
 その昔、雪舟さんが茶の湯や硯の水に使ったという。この水で絵や字を書いたら上手になれるちゅうんじゃ。
 この池は、どがあな夏でも、水がきれるちゅうことがない。
 大山からずっと、水の脈が硯の池まできとるちゅうんじゃ。
 だから、どんな日照りが続いてもぜったいに水がかれることはなかったといね。
 大山の方の人が使っていた箸があの硯の池の中から出て来たちゅうことじゃ。
 この硯の池は、大山とつながっておるちゅうことじゃ。

語り手 秋吉直幸(乙子)

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