「庄五郎じいさんの狐退治

 ある日、庄五郎じいさんが大浜へ魚を買いにいった。
 やまみち ある かえ とちゅう山道をてくてく歩いて帰る途中、日が暮れてあたりが暗らくなりはじめるとなんとなくきびが悪くなってきた。
 その時、目の中に何かが見えてきたんじゃ。
 よく見ると狐らしいて。何をするかとじっと見ていると、いっしょうけんめいに柴の葉を体につけよるんじゃ。
 そのとき、狐はじいさんの気配を感じたんかね。ぴょんと、とんぼがえりをすると、人間に化けた。それも十八か九の若い娘に化けよった。
 ところが、柴のつけ方が悪くて、頭の一部は狐のまんまじゃった。庄五郎じいさんの狐退治
 「よっしゃ。庄五郎じいさんの魚を取っちゃろう。」と、娘に化けた狐がやってきた。
 庄五郎じいさんは知らん顔をして狐に近づくと、娘は急に、
 「お腹がいた〜い。お腹がいた〜い。」
と、道ばたにしゃがみこんだ。
 庄五郎じいさんは、
 「そりゃあたいへんだ。家にええくすりがあるけえあげよう。さあ、このおいくちにのりんさい。」と声をかけた。
 娘はしめしめとよろこんで、おいくちの上にあがったんじゃ。
 庄五郎じいさんは、
 「腹が痛うて落ちちゃあいけんけいね。」
と、持っていたひもで、娘に化けた狐をがんじがらめに縛りつけたんじゃ。
 狐はどうもこうもならんようになって、
 「こりゃあしもうた。」
と思ったんじゃが、あとのまつりじゃあね。
 庄五郎じいさんは、よいしょと狐を背負って家に帰ると、
 「むすめさんやあ。腹が痛たけりゃあ、あたためてやろうかいね。」
赤々ともやしたいろりのそばにつれていった。
 娘に化けていた狐は、あぶりころされたらたいへんと、とうとう正体をあらわして、ことわりを言いよった。
 庄五郎じいさんは、もう人をだましたりしないのならと、ゆるしてやりんさったと。

さしえ 鎌手小学校4年 M・S
語り手 田中亀市(西平原)

目次