「夕日を招く長者

 むかし、むかし。高津の長者原に長者が住んでいたそうな。
 ある年の田植えの頃、広い田んぼに早乙女たちがやってきて、にぎやかに田植えがはじまったそうな。
 お昼近くになってどこからか、猿回しがやってきて、田植えをしとった人たちの前で、身ぶりおかしく猿の芸を続けたそうな。

 それが、あんまりおもしろいので、早乙女たちは、田植えを忘れてしもうた。気がつくと日が沈みかけていた。
 あわてた長者は日の丸の扇を取り出して、
 「お日さまよ。天の真ん中にかえってこい。」
と、仰ぎかえしたんじゃ。
 そしたら、お日さまがもういっぺん高いところまで昇ってくださったけえ、田植えができたといね。

 ところが、その晩、大津波がきて、せっかく植えた田んぼや長者の家がぐるんと流れてしもうたといね。
 そのあとに竜の形をした湖ができた。それを蟠竜湖と呼ぶようになったということじゃ。

夕日を招く長者

さしえ 高津小学校2年 K・T
語り手 斎藤隆資(赤雁)/高橋ナツ(遠田)/
安野俊介(高津)/水永タキ(高津)/林八千代(高津)

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